Spaceflowerが開発中の「Let Them Trade」(以下,LTT)がgamescom 2024に出展されている。本作は「Sim City」や「Cities: Skylines」といった名作と同様のシティビルダーだが,複数の独立した都市間の経済をシミュレートするというゲームになっている。そんな本作の詳細をSpaceflowerのMaximilian Diversi氏に説明してもらった。
LTTのプレイヤーは,神の視点から複数の都市を同時に俯瞰し,それぞれの都市の特性を生かしながら,都市間の取引を通じて経済圏全体を発展させていく。
ゲームの核となる経済システムには,
現実世界の市場原理を模した仕組みが採用されている。各都市は独自の予算と生産能力を持ち,余剰資源を他都市に販売し,不足する資源を購入。この過程で,需要と供給のバランスに応じて資源の価格が変動する。例えば,木材の生産が需要に追いつかなくなれば価格が高騰し,逆に供給過多になれば価格が下落するといった感じだ。
このシステムにより,プレイヤーは単に都市を大きくするだけでなく,経済全体のバランスを考慮した戦略的な意思決定を求められる。例えば,ある都市で製材所を建設する際,地元の森林資源を利用するか,それとも他都市から木材を輸入して加工するか。こうした選択が,資源の流れと価格に影響を与え,ひいては経済圏全体の発展に波及していく。
さらに興味深いのは,
物理的な資源の移動がシミュレートされている点だ。都市内では輸送者が資源を建物間で運搬し,都市間では交易路を通じて取引が行われる。この仕組みにより,都市の規模や配置,交易路の効率性が重要な戦略要素となる。大規模な都市は生産力が高い反面,輸送に時間がかかるというデメリットもあるという。プレイヤーは都市の規模と効率のバランスを絶えず考慮しながら,経済圏全体の最適化を目指す。
研究システムも見逃せない。プレイヤーは資源を投じて新技術や建物をアンロックできる。例えば羊牧場を研究すれば,高付加価値資源である羊毛の生産が可能になるといった具合だ。これにより,ゲームが進むにつれて経済構造がより複雑化し,プレイヤーの戦略の幅が広がっていく。
LTTが従来のシティビルダーと一線を画すのは,プレイヤーの役割だろう。本作では直接的に都市を管理するのではなく,都市間の取引に課税することでゲーム内の収入を得る。つまり,プレイヤーは個々の都市の繁栄だけでなく,都市間の活発な取引を促進することで,経済圏全体の発展を目指すのだ。
ゲームモードは,さまざまなシナリオに挑戦する
「キャンペーンモード」と,自由に経済圏を発展させる
「サンドボックスモード」の2種類が用意されている。キャンペーンモードでは,「巨大な宮殿の建設に必要な経済基盤を整える」といった具体的な目標が設定され,プレイヤーの腕が試される。
注目すべきは,
1つのシナリオを1時間程度でクリアできるよう設計されている点だ。長時間のプレイが前提となるほかのシティビルダーとは異なり,LTTは「平日の夜に1シナリオをクリアする」といった,より気軽なプレイスタイルを提案している。
一方で,深いストラテジー性を求めるコアなプレイヤーのために,
建物の詳細なカスタマイズシステムも実装されている。採石場を例に取ると,通常は投入資源なしで石材を生産できるが,魚を労働者の食料として投入することで,生産性を向上させるといった調整が可能だ。これにより,経済システムをさらに複雑化させ,最適化を追求するプレイの余地が生まれている。
LTTは2025年半ばのリリースが予定されているが,2025年2月頃にはαテストの実施が計画されている。多言語対応も考慮されており,グローバル展開も視野にあるようだ。
LTTは,シティビルダーとしての魅力と奥深い経済シミュレーション要素を兼ね備えた意欲作。複数都市間の相互作用や,物理的な資源の移動を含む精緻な経済システムは,知的好奇心を刺激するだろう。同時に,比較的短時間で完結するゲームデザインは,時間の制約がある社会人ゲーマーにも訴求するはずだ。
Maximilian Diversi氏
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以上が複数都市の経済を操る「Let Them Trade」は,平日の夜にサクッと遊べるシティービルダー[gamescom]の詳細内容です。詳細については、PHP 中国語 Web サイトの他の関連記事を参照してください。