本日(2024年8月1日)でビジュアルノベルゲーム「ファミレスを享受せよ」のSteam版が,ちょうど配信1周年をむかえた。
本作は,わくわくゲームズがパブリッシングし,ゲーム制作サークル・月間湿地帯が開発したコマンド選択式のアドベンチャーゲームだ。ファミレス「ムーンパレス」に閉じ込められたプレイヤーが,先客らとの会話をヒントにゲームを進めていく脱出ゲームテイストのタイトルとなっている。
アドベンチャーゲームファンの中では,既にカルト的な人気を博しているタイトルではあるが,これまで気にはなっていたが,まだ本作を享受できていない人もいるのではないだろうか。
そこで,記念すべき1周年の節目に,いまだプレイしていない人に向けて本作の魅力を全力で届けようと思う。
ファミレスを享受せよは,2023年8月1日にSteamで配信された。もともとは2022年にフリーゲームとして公開されたタイトルだが,Steam版ならびに2023年11月に配信されたSwitch版は,そこに追加要素を加えた完全版となっている
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さて,勇んで「ファミレスを享受せよ」を紹介しよう! と言ったはいいのだが,本作の魅力を言語化するのは,なかなかにハードルが高い。
もちろん,キャラクターが可愛いとか,世界設定が刺さるとか,音楽が素晴らしいとか,ストーリーが凝ってるとか,フックになるような要素を並べるのは簡単だが,そこを語っても真の魅力を100%伝えることはできない。
おそらく言葉を尽くせば尽くすほど嘘っぽく聞こえてしまうため,究極的にはプレイしてもらうのが一番早いのだが,それで終わらせてしまうと筆者の出番がなくなるので,がんばって紹介してみようと思う。
遊べる深夜のファミレス体験。独特の雰囲気がそこにはある
それでは本作の魅力とは一体何だろうか。それは,深夜のファミレスで過ごす時間あの雰囲気をゲームプレイを通して感じられるところにある。
深夜に1人でファミレスに行ったことがある人なら,共感してくれそうだが,あの時間帯のファミレスは,ゆったり流れる時間の中に喧噪と孤独が入り混じった独特な雰囲気に包まれていると筆者は感じる。
訳アリそうなカップルが深刻な表情で食事をしていたり,ドリンクバーで飲み物を混ぜまくる集団がいたり,深夜なのに店内を走り回る子供がいたり,やたらハイカロリーな飯を食べているおじいちゃんがいたり……ふとあたりを見回せば,結構不思議でカオスな空間だ。
ただ,あれだけ騒がしいのにどこか寂しさも感じる。それは筆者が1人で来ているからなのか,大都会の雑踏の中でふと感じるような孤独なのか,外の宵闇のせいなのかは分からない。しかも,ただ寂しい訳じゃなくて,なんだか不思議とワクワクもする。
深夜のファミレスに足を運んだことがない人からしたら,まったく伝わらないかもしれないが,そんな独特な空間と時間の流れに似た”なにか”が,本作には漂っているのだ。
ゲーム自体はシンプルなポイント&クリックのアドベンチャーで,ファミレス「ムーンパレス」を訪れたほかの客と喋ったり,店内を巡ったりしながら進めていく。
ムーンパレスの客は王様や,歴史にやたら詳しい目隠れ系お兄さんなど,個性的な面々揃いだ。現実だと赤の他人といきなり会話するのは難度が高いが,そこはゲームなので問題ない。
実際,ファミレスで「この2人はどういう関係なんだろう」とか「この人はなぜ深夜に1人でご飯を食べているんだろう」とか,ほかの客のプライベートについてついつい考えてしまうことはないだろうか。本作では,いきなり込み入った話を振っても,眉をひそめられないし,ファミレスで居合わせた他人の事情に踏み込めるのは,現実ではなかなか難しい,ゲームならではのうれしい体験と言える。
どこかの国の王様らしい。王様がどうしてファミレスに……?
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歴史にやたら詳しい目隠れ系お兄さん。この手のお兄さんが刺さる人は多いはず
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どこか影のあるお姉さん。置かれたグラスが何やら意味深
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ファミレスと言えばガチ過ぎる間違い探しも欠かせない。難度は高めで問題数も多く,なぜか魚がたくさん描かれている
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また,ファミレスと言えば,やはり料理や飲み物のラインナップはチェックしておきたい。ドリンクバーのラインナップを紹介しておこう。ほかではお目にかかれない珍しいドリンクばかりだ。
●白銀水
一瞬,水銀に見間違える人続出!? 飲んでも害は無いようだが,文字が与えるイメージが強烈過ぎてどうしても警戒してしまう。実際はタダの水らしい。
●りんごジュース
普通のりんごジュース。ほかの飲み物が奇抜なだけに,こういう普通の飲み物に癒される。ちなみに筆者はオレンジジュース派だ。
●月の涙
口の中からしゅわしゅわといなくなる梨味の飲み物。梨を使った加工食品にハズレなし! これは名前も可愛いし実際に飲んでみたい。
●ガラスシロップ
柔らかくて甘酸っぱいとろみのあるレモン水。でも,名前からガラスの破片が混入した飲み物をイメージしてしまうのは筆者だけだろうか。これも名前のせいでちょっと怖い。
●第一のスープ
生臭さと塩味を感じる複雑な味のスープ。これだけ聞くとマズそうだが,意外と美味しいらしい。まあ,現実のドリンクバーのスープも,そこまで美味しくないのについつい飲んでしまう中毒性があるからなあ。
●黒い酒
ほのかに甘くまろやかで飲みやすい飲み物。酒と書かれてはいるが,アルコールは入ってないらしいので,子供でも飲めそうだ。
●ペンギンソーダ
炭酸強めで肉っぽい風味の飲み物。ペンギンの肉風味ってことなら相当悪趣味だ。名前は可愛いが味的にはかなり抵抗がある。しかし好奇心はくすぐられる。
なお,ムーンパレスにはコーヒーメーカーもあるのだが,いろいろあって今は故障中。冷静に考えて,ファミレスでコーヒーが飲めないのは結構致命的な気がするが,そこは我慢しよう。
こんな感じの楽しくも怪しいラインナップなのだが,飲み物の充実っぷりに対し,ケーキなどの食べ物系は一切存在しない。ちなみに,飲み物は無限に出てくるので,とりあえず飲み物で腹をたぽたぽにすることはできる。
そして,このドリンクたちは本作で非常に重要な役割を持っているのだが,どんな形で関わってくるのかは敢えて伏せておこう。ゲームとしてはシンプルで,プレイ時間も3~4時間と短めなのだが,得られる満足感はかなり高いはずだ。
クリア後は2つのおまけ要素を享受せよ
クリア後の要素も紹介しよう。本作はクリア後に「サウンドギャラリー」と「イラストギャラリー」という2つのオマケ要素が開放される。本稿ではその中で「サウンドギャラリー」について少し紹介しよう。
冒頭で「フックになるような要素だけを語っても真の魅力を伝えられない」とか言っておきながら,音楽的な魅力を語ってしまっている。ただ,この「サウンドギャラリー」の良さだけはどうしても伝えたいので,許してほしい
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上の画像に可愛らしい置物が7つ写っているが,これはそれぞれが曲に対応しており,クリックすることで曲が流れる仕様になっている。通常時は作中で使用されているオリジナルバージョンの楽曲が流れるが,右下の鍵盤をクリックするとピアノバージョンが流れるという仕掛けが用意されている。
ゲーム楽曲は本編をプレイしてこそ100%伝わるものだが,この画面のレイアウトの可愛らしさは未プレイの人にも伝わるはず。こういった部分にセンスが光るのも本作の魅力の1つだ。ちなみに本作のサウンドトラックは,通常版・ピアノ版がそれぞれ500円でダウンロード販売されている。
また宣伝になってしまうが,4Gamerを運営するAetasが2024年11月1日に行う音楽イベント「西美濃八十八人衆 ピアノコンサート」でも,本作の楽曲が演奏される予定だ。
本イベントは,ゲーム実況集団「西美濃八十八人衆」をフィーチャーしたもので,稲葉百万鉄氏と,がみ氏が実況してきたゲームの音楽を,2人のピアニストが演奏する。
「ファミレスを享受せよ」の楽曲は全曲が演奏される予定で,単一のタイトルファンでもかなり満足できる内容になっている。当日はオンラインによる配信も予定されているので,本作をプレイして音楽に魅力を感じた人はチェックしてみよう。
※チケットの二次プレリクエスト抽選を8月7日23:59まで受付中
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[2024/07/03 18:00]
本作は,ジャンルの性質上,リプレイ性はそこまで高くないのだが,ふと無性に享受したくなることがある……お気に入りの本を何度も何度も読んでしまうようなあの感覚だ。
享受すればするほど好きになる……。もしかしたら,あなたの一生もののゲームがここにあるかも? ぜひ読者の皆さんもファミレスを享受してほしい。
以上是慶祝《歡樂家庭餐廳》Steam 版一週年!我會盡力向沒有玩過這款遊戲的人進行演示,並說:'為什麼不現在就嘗試一下呢?”的詳細內容。更多資訊請關注PHP中文網其他相關文章!